払川という場所は、とても不思議な場所です。
刺激の多いこの世の中で、ここは、とても静かでシンプル。
神社の境内の入口を越えたとき、空気や時間の流れが変わるのを私はよく感じるのですが、ここ払川に初めて足を踏み入れた時も、同じような感覚を味わいました。
静かといっても無音というわけではなく、自然や動物たちの奏でる音は賑やかなほどに常にそばにあって、でも全く耳障りではないのです。
払川集落は未だに上水道が引かれていなくて、今現在も各家、井戸水や湧き水を家に引いて生活をしており、小さな宿のんも田束山の湧き水を使わせてもらっています。
その水の味もまた「無」を感じる味。
自分の心や頭を少し整理したい時、何も考えずにぼーっとしたい時、なんだか分からないけれど気持ちがあふれて涙が出そうな時、ここの空気は、いつも私を迎え、包んでくれます。